子どものくすりが大人のくすりと大きく異なる点は、お子さん一人ひとりに合うようにオーダーメイドされるところです。処方せんには、お子さんの状態に合わせてくすりの種類、形、量、服用時間、ならびに服用回数が細かく指定されています。では、どのようにしてくすりの種類、量、飲み方を決めているのでしょうか。医師は十分な治療効果を得ることができる必要最少量を、体重、年齢をもとにお子さんの病気の状態やその他の合併症を考慮して決めています。単に大人のくすりの量を減らして与えればいいというものではありません。くすりの中には子どもへの投与が適さないもの、体内でのくすりの動きが子どもの成長度合いによって変化するものがあります。ほとんどの飲みぐすりは腸で吸収された後、血液中に入り、何度も肝臓を通過しながら効力を失っていきます。体内で役割を果たしたくすりは腎臓でろ過され、尿と共に体外へ排泄されるか、あるいは肝臓から胆汁とともに腸に移行し、便中へ排泄されるかします。子どもの場合、吸収される腸、分解される肝臓、排泄される腎臓など、くすりの動きに影響を与える臓器機能が発達途上にあるため、くすりが十分に吸収されなかったり、逆に大人以上に体内に長くとどまったりすることもあります。さらに、その動きは同時に服用しているくすりによっても影響を受けることがあります。現在では、このような小児におけるくすりの動きを予測することが可能になっており、処方せんの内容を決める時に、併せて考慮されます。
子どものくすりはお子さん一人ひとりに合わせてつくられています。そのため、薬局でもらうくすりは、医師の指示を守って正しく服用させることが必要なのです。家庭でくすりを飲ませることは保護者の方にゆだねられています。くすりの飲ませ方等に関する疑問や不安を感じるようなことがありましたら、お気軽に薬剤師にお尋ねください。

(文責 内藤 隆文)

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