[発行] 大分医科大学医学部附属病院広報誌発行委員会

治療最前線

(耳鼻咽喉科)

─アレルギー性鼻炎─

 アレルギー性鼻炎は鼻腔内に吸入された抗原に生体内の抗体が反応して、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの症状を引き起こす病気です。治療は抗原の除去・回避が第一ですが、患者さんの鼻症状に対し薬による治療や減感作療法などの保存的治療が選択されます。特に、最近の内服薬や点鼻薬は種類も豊富で優れた効果を持っていますので、症状や重症度に応じて色々な選択が可能です。しかし、近年、アレルギー症状の重症化に伴い保存的治療に抵抗性の患者さんが増加しています。そこで、このような難治性鼻炎の患者さんに対しては、次の治療法として手術治療が選択されます。

 鼻の中は単なる空洞ではなく、3つの「鼻甲介」といわれるこぶがあり、通常は鼻の様々な生理的機能に大きく貢献しています。一般に、鼻甲介はアレルギー反応の主要な場所であり、手術治療は中でも最も大きくその病的腫脹が鼻づまりの主要な原因となる「下鼻甲介」に対する処置が中心となります。下鼻甲介の処置法はいろいろありますが、日帰り手術可能で手術侵襲の比較的少ない下鼻甲介粘膜表面を焼灼し粘膜面を瘢痕化に導く方法が最も多く行われています。手術効果は鼻づまり、鼻みず、くしゃみのいずれの症状にも期待できますが、鼻づまりに対して最も効果があります。また、季節性アレルギー性鼻炎(スギ花粉症など)の患者さんに対する季節前治療としても有効で、年齢は小学生以上が適応となります。手術にはレーザー装置やアルゴンプラズマ凝固装置、超音波振動メスなどの最新のハイテク機器が用いられています。いずれの方法も難治性の患者さんに対しても有効性は70%以上と満足できる結果が得られています。

 現在、本学附属病院耳鼻咽喉科では主に外来手術として下鼻甲介粘膜焼灼手術を、入院手術では下鼻甲介粘膜下切除術を積極的に行っています。その効果は今のところ永久的とは言えませんが、薬が効かない難治性鼻炎の方、さらには副作用などで薬による治療を望まない患者さんには大きな福音となり得ますので、お気軽にご相談いただきたいと思います。

(文責 耳鼻咽喉科 吉田 和秀)

術前写真 術後写真

 

最終更新日時: 大分医科大学総務部庶務課文書係作成