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〜『肥満外科療法』について〜 |
肥満は脂肪組織が過剰に蓄積した状態のことですが、医学的にはそれ自体が問題ではなく、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の基盤となっていることが問題となります。さらにこれらの生活習慣病は心筋梗塞や脳梗塞などの原因となる動脈硬化を引き起こし、肥満のある患者さんの寿命の短縮を起こすとされています。最近、それらをメタボリックシンドロームと呼び、動脈硬化の危険状態として認識されるようになってきました。
わが国では肥満と肥満に関連する健康障害の合併する状態を肥満症と呼び、従来から内科的治療が行われてきました。食事療法、運動療法、行動療法、薬物療法という治療法です。本院では以前より内分泌・糖尿病内科にてこれらの治療法を積極的に行っており、多くの患者さんで治療効果をあげてきました。しかし中には肥満の程度が強く、内科的治療に効を奏しない肥満症の患者さんもおられ、欧米で一般化している肥満外科療法の必要性が増していました。
そこで当科ではわが国で初めて肥満症に対する2つの外科療法を導入しました。1つは内視鏡(胃カメラ)で胃内にバルーンを留置する内視鏡的胃内バルーン留置術で、もう1つは全身麻酔下に腹腔鏡で見ながら手術を行う腹腔鏡下胃バンディング術です。いずれの治療法も食事摂取量を減らす方法であるため、減量には患者さんの理解と努力を必要とします。現在までに両治療法ともにそれぞれ10人以上に行いましたが、約半年間で7〜20kgの減量が可能でした。ただし両治療法ともに新しい治療のため保険が効きませんので、私費診療となっています。今後も内分泌・糖尿病内科と密に連携を取りながら、肥満症の外科療法を進めて行きたいと考えております。
問い合わせ先:肝胆膵外科 電話 097−586−5843

(文責 肝胆膵外科 太田正之)
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