臨床腫瘍医学講座教授
腫瘍内科長 白尾 国昭
平成19年4月、大分大学医学部に臨床腫瘍医学講座が新しく開設され、私は9月に本講座の教授として赴任致しました。本講座は平成19年10月には附属病院の新しい診療科(腫瘍内科)としても承認され、現在外来、病棟で診療をはじめています。
腫瘍内科とは、がんの患者さんの治療を行う部門ですが、特に抗がん剤などの薬を専門に取り扱います。
がんの治療は手術、抗がん剤治療、放射線治療が柱になります。がんの種類や進行の状態などによって選択すべき治療法は異なってきますが、場合によっては、いくつかの治療の組み合わせが必要になることもあります。このような時、腫瘍内科医は抗がん剤を投与するだけでなく、治療の方針を決定するために重
要な役割を果たします。最近は治療の方法もいろいろ複雑になってきており、ますます腫瘍内科の専門家が求められる時代になってきました。欧米では古くから腫瘍内科の重要性は認識されていたのですが、日本ではそれに相当する診療科がありませんでした。
大分ではいち早くその重要性を認識し、大学病院に新しい診療科をつくることになった訳です。
現在、がんは我が国の死亡原因の第1位であり、その数は近年ますます増加の傾向にあります。このような状況のもと、がん医療は未だ不十分ながら着実な進歩を遂げてきています。特に最近はがんの分子生物学的研究などの急速な進歩により、診断学および治療学に大きな変化が起こりつつあります。現在は私を含め4人の医局員がいますが、胃がん、大腸がん、食道がん、肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がんなど消化器のがんおよび肺がんを中心に診療を行っています。今後、我々は大分の地域住民の方々に水準の高いがん診療を提供すること、さらにはがん診療(特に薬物療法)に携わる優秀な実地医療専門家を育成すること、および新しい治療法の研究開発を促進させることを目標として頑張っていきたいと考えています。何卒、皆様方のより一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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