
|
麻痺した手足の運動機能再建と訓練
「経皮的埋め込み電極を用いた機能的電気刺激療法」 |
麻痺した手足の筋肉に電極を埋め込み、自分の意図する日常生活を送れることを目指した治療法です。
脳卒中や脊髄損傷などによって中枢性運動神経が障害されると、自分の意志に従った筋肉の運動ができなくなります。麻痺した手足の筋肉に、脳から来る命令と同様な電気信号を与えることで、目的を持った動きを蘇らせようというものです。
まず、麻痺している筋肉に経皮的埋め込み電極を刺入留置します。電極は電気刺激を神経・筋肉に伝達する役割を持っています。次に、健常者に目的とする動作を行ってもらい、その時の筋肉の動きをコンピューターに記録し、これを患者さんに適したパターンに変更し、刺激データを作成します。患者さんは、制御入力装置を操作して作成した刺激データを電極に送り、意図する動作(コップを握る、起立、歩行など)を行います。また、刺激装置を訓練モードに設定して、電気刺激を麻痺筋に与えることで、筋力の回復、筋緊張異常の改善、関節可動域の拡大、随意性の向上が期待できます。
本院脳神経外科では平成9年9月からこの治療法を開始し、刺激方法の簡便化などの改良を加えながら現在までに約20人の患者さんに行い良好な結果を得ています。近年ロボット・コンピュータ技術が進歩して、脳波や脳血流の変化を感知して直ちにロボットハンドを自分の思うとおりに動かすことができるようになりつつあります。
(文責 脳神経外科 藤木 稔)

|