麻酔科では、硬膜外内視鏡による難治性腰下肢痛の治療を行っていますので紹介いたします。
本治療は、平成18年10月に先進医療に認定され、現在までに大分大学をはじめ、自治医科大学、東京大学、大阪大学、順天堂大学、旭川医科大学、仙台ペインクリニックの7施設のみで承認されています。
具体的な内容は、まず内視鏡治療をする前に仙骨硬膜外造影を行い、疼痛部位と思われる硬膜外腔や下肢への神経が障害を受けている事を確認します(図1)。次に手術室で、レントゲン装置と極細の内視鏡画面を見ながら、可動性のカテーテル(細い管)を用いて、@硬膜外腔という脊髄神経のすぐ外側の空間の癒着を剥離、A生理食塩水を使用して洗浄し炎症物質を除去、B剥離した後に病変部位への局所麻酔薬・抗炎症薬を投与して鎮痛を図る治療法です。治療後に再度造影検査を行い、癒着が剥離され硬膜外腔や下肢への神経が描出される事を確認できた場合(図2)、高い治療効果を得る事ができます。
適応は、内服薬・リハビリテーション・神経ブロック治療等保存的治療に抵抗を示す腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症又は腰椎手術後も続く腰下肢の疼痛となっています。特に癒着の強い症例に効果を示しますので、当科では腰椎手術後の腰下肢痛の患者さんに多く施行しています。現在まで40例以上に施行しており、特に重大な合併症は認めていません。治療効果は、元々が他の治療法で効果を認めなかった難治性の疾患ですので、全く効果を認めない場合もありますが、特に下肢痛に対しては良好な結果を得ています。また、血液が固まりにくい薬を内服されている場合は、治療が出来ない場合もあります。
治療を希望される患者さんは月・水・金曜日の午前中に麻酔科外来にご相談下さい。ただしその手術費用につきましては他の先進医療と同様に患者さんに全額自費負担していただくことになります。入院料などその他の費用は一般の保険診療と同様に扱われます。

図1 治療前の仙骨硬膜外造影と剥離手技
図2 治療後の造影所見
(文責 麻酔科 野口 隆之 竹島 直純)
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