放射線治療は、手術や化学療法とともに、がん治療の大きな柱のひとつとして重要な役割を果たしています。
特に最近では画像診断機器の向上によって癌の範囲がより正確にわかるようになったことで、画像と治療装置を組み合わせて治療を行う放射線治療が注目されるようになってきています。
本院でもこのたび放射線治療機器を一新いたしました。高エネルギー放射線治療装置2台、子宮頚癌や食道癌などの治療に用いる組織内・腔内照射用小線源治療装置1台の、いずれも最新鋭の機器です。
特に高エネルギー放射線治療装置(図1)の1台は、同じ部屋にCTが併設され寝台を共有しているために、患者さんは移動することなく、CTで正確な治療部位を確認後ただちに放射線治療を受けることができます。
従来の治療では、治療前に詳細な画像で治療計画を立案した場合でも体の表面のマークを元に位置を合わせて治療を行っており、治療中の正確な病変の位置の把握は困難であったために、その誤差も踏まえて治療する範囲を決める必要がありました。
しかし、今回の治療装置は、治療直前にCTを撮影し治療計画時の画像と比較することにより、治療計画を行った際の位置との数mm単位のずれも明確にわかり、これを補正することができます。治療時に正確な治療部位の確認ができるようになったことで、誤差を踏まえて治療する範囲を決める必要もなくなるので病変周囲の正常臓器への被曝を減らし、放射線による副作用を軽くすることができます。また病変に対して照射する線量を増やすことも可能となりますので、高い治療効果が期待できます。もちろん、この治療法が、すべての病変に対して適応というわけではありませんので、主治医と相談の上、放射線治療専門医(放射線科外来)を受診して下さい。
今回導入された最新鋭の放射線治療機器は、都道府県がん診療連携拠点病院としての本院の役割に大いに貢献できるものと期待しています。

図1 7月から稼動の放射線治療装置。CT撮影装置(奥)と放射線治療装置(手前)で寝台を共有している。
(文責 放射線科 松本 陽 内田 大地)
|