第6号目次 | ||
創薬育薬 | ||
Q:治験ってなに? |
新しいくすりは何千というくすりの候補の中から、安全で優れたものだけが選ばれて、広く患者さんに使えるようになります。くすりや医療用具などが有効で安全かどうかを、患者さんや健康な人に協力していただいて調べる試験のことを、「臨床試験」といいます。この臨床試験の中で、くすりや医療用具を国(厚生労働省)から製造販売の承認をしてもらうために行う試験のことを「治験(ちけん)」と呼びます。
Q:治験って安全性は大丈夫なの? |
治験はヒトを対象とした試験なので、患者さんの人権や安全性を守るために大変厳しい規則があります。「医薬品の臨床試験の実施に関する基準:GCP」といわれる法律です。治験を実施する製薬会社や病院は、このGCPを厳重に守り、治療を適正に実施することが義務づけられています。
Q:創薬育薬ボランティアってなに? |
現在市販されているすべてのくすりは、多くの方々の協力により生まれたものです。新しいくすりが開発され市販されるまでの治験の段階を「創薬(そうやく)」、市販後に本当にくすりが病気の治療に役立っているかどうかを確認し、より適切な使い方を調べる研究を「育薬(いくやく)」と呼んでいます。当院では、創薬や育薬に参加いただいている方を「創薬育薬ボランティア」と呼びます。
Q:創薬育薬クリニックは何をするところなの? |
創薬育薬クリニックは、創薬育薬ボランティアとして臨床試験に参加された患者さんのために設置された専門外来です。ここでは、臨床薬理センター創薬オフィスの「治験コーディネーター」と呼ばれている薬剤師や看護婦が、医師の診療の支援をはじめ臨床試験に参加した患者さんのケアや相談に応じ、質の高い臨床試験の実施を目指して働いています。
Q:治験っていうと少し不安だけど… |
治験に参加していただく時には、治験を行う医師から新しいくすり(治験薬)の特徴や試験の内容、予想される効果や副作用について、説明文書による十分な説明があります。その上で、治験に参加するかどうかは本人の自由な意思を尊重することになっています(インフォームド・コンセント)。十分に説明をお聞きになって、納得したうえで治験に参加するかどうかを決めて下さい。
良いくすりをつくり育てるためには、創薬育薬ボランティアとして参加する多くの患者さんの協力が必要となります。臨床試験(治験)は、創薬育薬ボランティアの方々が存在してはじめて成り立つ医療なのです。これからのより良き医療を築いていくためにもみなさまにご協力をお願いしたいと思います。
(文責 臨床薬理センター長 中野 重行)