第6号目次
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喫煙とくすり

 喫煙が肺や気管支に悪い影響を与えたり、喘息、心臓病、脳卒中の原因となることはよく知られていますが、くすりの効き方も変えるってことも御存知ですか?今回は、喫煙がくすりの効果にどの様な影響を与えるのかお話したいと思います。

 くすりの多くは、体の中にいると肝臓で分解(代謝)されて効き目をなくします。これは、体にとって異物であるくすりを体の外に速やかに出そうとする働きが肝臓にあるからです。この仕事をおこなっているのは、肝臓の中にある「酵素」です。みなさんが飲まれているくすりは、この「酵素」でかなり分解(代謝)されますが、医師はこのことを予め考えてくすりの用量を決めています。しかし、この「酵素」の働きが何らかの影響で強く働くとどうなるでしょうか?このような場合、くすりの分解が必要以上におこってしまい、くすりの効果が悪くなったり作用時間が短くなるなど十分な効果を期待することができなくなってしまいます。たばこはこのような「酵素」の働きを強くする作用を持っています。その原因となるのは、たばこに含まれるニコチンやベンゾ〔a〕ピレンという成分などです。喫煙により全てのくすりの効果が弱まるわけではありませんが、例えば、解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェンや血圧を下げるプロプラノロールでは非喫煙者と比べて3倍近くも速く分解がおこる場合があることがわかっています。一概にはいえませんが、くすりを服用中は、たばこは控えた方がよいかもしれません。また、ニコチンやベンゾ〔a〕ピレンは、喫煙者が直接吸い込む煙(主流煙)よりもたばこの先から立ち昇る副流煙野方に多く含まれるとされています。周りの人への気配りも大切にしたいものです。

(文責)薬剤部医薬品情報管理室 菅田哲治)