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AACR Annual Meeting 2016にて発表しました。

 小副川助教が、「Positive correlation between the gamma-H2AX and PD-L1 expression in lung squamous cell carcinoma.」について、ポスター発表しました。

 

 2016年4月16日から4月20日まで、ニューオーリンズで開催された、American Association for Cancer Research (AACR) Annual Meeting 2016に参加してきました。2年ぶりに参加した学会でしたが、前回と同じく多くのことを学びました。驚いたのは、この2年間でがん免疫に関する研究が飛躍的に進んでいたことでした。2年前も、すでに免疫チェックポイント阻害剤に関する発表は散見されましたが、それよりも、次世代シーケンサーから得られたビッグデータをどう活用するか、patient-derived xenograftマウスを用いたco-clinical trial、細胞周期や、代謝経路をターゲットとした新規抗がん剤の開発といった発表がメインでした。それが、今回は、発表のほぼ半分ががん免疫関連といっても過言ではなく、hallmark of cancerよりも、cancer-immunity cycleの図をより多く見かけました。臨床検体を用い、次世代シーケンサーにより腫瘍特異的変異抗原の予測と発現解析、腫瘍浸潤リンパ球のMHCサブタイプ検出から、免疫チェックポイント阻害剤に加えたがんワクチンの開発に関する研究や、T cell inflamed tumorとnon-T cell inflamed tumorの違いに関する研究、いかにT cell inflamedの状態へもっていくかという試みや、キメラ抗原受容体(CAR)を用いた遺伝子改変T細胞療法の研究、更には、Driver遺伝子変異を有する遺伝子改変マウス発がんモデルにおける免疫逃避機構の解明と治療実験、さらにはマウスにimaging windowを装着し、蛍光標識されたリンパ球の遊走を解析する、intravital imagingなど、枚挙にいとまがありません。かく言う私も、肺扁平上皮癌におけるPD-L1とγH2AX発現の関連についてというタイトルでポスター発表を行い、多くの研究者から質問や提案を頂きました。ほかにも、我々が現在行っている、cancer heterogeneityとclonal evolutionに関する報告も多く、研究者の興味は世界共通であることを確認した一方、小規模な研究室で流行りの研究に手を出す難しさも実感しました。

 AACRはアメリカの様々な都市で行われており、今回のニューオーリンズではジャズクラブに行くこともでき、国内外の研究者と意見を交わすことができましたし、念願だったミシシッピ川クルーズや、スーパードーム見学(外から見るだけでしたが)、留学していたラボのボスや友人との再会など、学会以外でも楽しむことができました。この機会は、大分大学医学部教職員留学等支援制度のサポートを頂いており、医学部長の守山教授をはじめ、選考委員会の先生方、海外出張を快く受け入れて頂いた呼吸器・乳腺外科学の杉尾教授や同僚の皆さまにはこの場をお借りして御礼申し上げます。 

 

発表風景