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研究分野

研究室から

  1. EGFR遺伝子変異肺癌における研究(小副川、内匠、原武)

    EGFR遺伝子変異はアジア人の肺腺癌患者に多い。第3世代EGFR阻害薬オシメルチニブが有効であり、予後因子や治療抵抗性の機序を明らかにする研究が進められている。全国多施設後ろ向き研究で無再発生存期間の予測因子を特定し、EGFR変異型肺癌の切除検体を用いてサイクリンD1に着目した研究も行われている。オシメルチニブとサイクリン依存性キナーゼ阻害薬の併用療法が有効であり、今後の目標は薬剤耐性の克服である。

  2. 非小細胞肺癌における所属リンパ節内血管新生の検討(安部)
    血管新生は腫瘍の悪性度や転移に関連する重要な因子であり、非小細胞肺癌(NSCLC)においては原発巣の微小血管密度(Microvascular density: MVD)とリンパ節転移・予後との関連が報告されている。NSCLC所属リンパ節は、転移に先立ってMVD等の原発巣の影響を反映するとの仮説のもと、所属リンパ節内MVD変化を解析し、その臨床病理学的意義を明確にする。
  3. NTRK融合遺伝子を有する固形癌における研究(内匠)
    NTRK/ALK/ROS1融合遺伝子を有する固形癌に対する分子標的薬エヌトレクチニブは有効だが、約半数の患者に対して十分な治療効果が得られない。腫瘍関連線維芽細胞からのHFGがMET経路を活性化し、耐性を招くことが明らかにされている。MET阻害薬の併用が腫瘍抑制に有用であり、HER3の役割を調査中である。
  4. 呼吸器外科手術におけるAI技術の活用(辛島)

    肺葉切除や区域切除が原発性肺癌の標準治療として行われ、肺動脈処理が必要であるが、損傷は重大な合併症につながる。内視鏡手術支援ロボット技術の導入により低侵襲化が進むが、視覚情報の認識が重要である。AIを活用することで、分葉や葉間胸膜で覆われた肺動脈の認識と剥離の安全性が向上する。研究では手術動画データを用いてAIソフトウェアを開発し、AIによる視覚化で手術の精度向上と経験の乏しい術者の技術習得を支援する。

  5. 乳癌におけるPI3K-AKT経路阻害薬の研究(内匠、工藤)

    PI3K-AKT経路に遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性乳癌に対する分子標的薬はホルモン療法と併用されるが、約2割の患者は治療効果が得られず、早期の治療耐性が課題である。MAPK経路の役割を解明し、耐性機序に合わせた併用療法の開発が進められている。

  6. 非小細胞肺癌における分子標的薬耐性の研究(原武)

    MUC1遺伝子はがんの進行や薬剤耐性と関連し、オシメルチニブ耐性患者にはMUC1-C阻害が有効であることが示されている。MUC1-Cと薬剤耐性の相関について、複数の分子標的薬耐性例に焦点を当てた研究を進めている。

助成金を獲得した研究

   
年度  種目/研究課題 
2025年度~ 科学研究費助成事業基盤研究(若手研究) 肺癌縮小手術のための数値流体力学シミュレーションを用いた肺気量・肺血流量解析
2023年~2024年度 科学研究費助成事業基盤研究(研究活動スタート支援)  稀少融合遺伝子を有する固形腫瘍の初期耐性におけるHER3の機序の解明
2023年度 上原記念生命科学財団 EGFR変異陽性肺癌に対する高精度術後補助療法の開発
2021年度 上原記念生命科学財団 肺癌の遺伝子多様性の解析と分子モニタリングの確立
2021年度 大分大学部局長戦略経費 科学研究費助成事業(独立基盤形成支援)非小細胞肺癌におけるドライバー遺伝子と細胞周期関連遺伝子を標的とした治療開発
2021年度 科学研究費助成事業基盤研究(C) 独立基盤形成支援 非小細胞肺癌におけるドライバー遺伝子と細胞周期関連遺伝子を標的とした治療開発
2021年度~
2023年度

科学研究費助成事業基盤研究(C)  非小細胞肺癌におけるドライバー遺伝子と細胞周期関連遺伝子を標的とした治療開発

2021年度~
2023年度
科学研究費助成事業若手研究 非小細胞肺癌における所属リンパ節内血管新生の検討
2020年度~2022年度 科学研究費助成事業基盤研究(C) 肺癌の遺伝子多様性に基づく新規治療法の開発
2018年度~2021年度 科学研究費助成事業基盤研究(C) 染色体不安定性を有する肺癌に不可欠なゲノム維持機構の解明と合成致死治療への応用
2018年度~2021年度

科学研究費助成事業基盤研究(C) 胸部悪性腫瘍に対するmTORを標的とした治療開発

2018年度~2020年度 内視鏡医学研究振興財団研究助成 肺癌の腫瘍内不均一性を規定する染色体不安定性の解明
2017年度 公益財団法人内視鏡医学研究振興財団 気管支吻合・形成部におけるICG蛍光胸腔鏡を用いた術中血流評価法の開発
2017年度 上原記念生命科学財団 肺癌の腫瘍内不均一性を規定する染色体不安定性の解明
2017年度 大分大学長戦略経費 重点領域研究推進プロジェクト 腫瘍微小環境に基づいた新規肺癌治療戦略創出への基盤構築
2015年度~2017年度   科学研究費助成事業基盤研究(C)
粘液産生性細気管支肺胞上皮癌に対する治療戦略
2015年度~2017年度    科学研究費助成事業若手研究(B)
Driver遺伝子変異を有する肺癌における、空間・時間的な腫瘍内不均一性の解明  
2016年度   公益財団法人武田科学振興財団 2016年度医学系研究奨励
非小細胞肺癌におけるDNA損傷修復と免疫チェックポイント分子との関連  
2016年度   大分がん研究振興財団 研究助成
腫瘍内不均一性がT790M変異陽性肺癌に対する第3世代TKI初期耐性に及ぼす影響の研究
2016年度   大分がん研究振興財団 研究助成
胸腺上皮性腫瘍(胸腺腫)におけるPD-L1発現の解析
2015年度 平成27年度大分大学長戦略経費 重点領域研究推進プロジェクト
肺癌のエピゲノム異常を標的とした分子標的治療の開発  
2015年度 大分がん研究振興財団 研究助成           
EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌におけるEGFR変異蛋白発現の不均一性(Heterogeneity)とEGFR-TKIの治療効果に関する研究
2015年度 大分がん研究振興財団 研究助成
肺癌におけるPD-L1の発現とその機序に関する研究  
2013年度~  医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
非扁平上皮非小細胞肺癌に対するペメトレキセドを用いた術後補助化学療法 
2013年度~2015年度   科学研究費助成事 業基盤研究(C)
上皮成長因子受容体変異陽性肺癌を対象としたTKI耐性機序の解明