大分大学医学部附属病院呼吸器外科において、肺癌に対して第1例目となる、ロボット支援肺悪性腫瘍手術を行いました。
手術支援ロボット”daVinci Si Surgical System”を用いたロボット支援手術は、胸壁に1-2cm程度の創をいくつか開け、鉗子という細い器具を用いて手術を行う点は従来の胸腔鏡手術と同様ですが、ロボット支援手術では4ヵ所の創に3Dカメラと3本のロボットアームを入れ、3Dカメラの画像を見ながら、多関節を自在に操れる”3つの腕”を精密に扱うことができるため、精密な手術を開胸手術と同じように行うことができるという利点があります。さらに手術器具やカメラはロボットが把持し、それを術者がコンソールボックスの中で操作するため、手ブレのない手術を行うことができます。ただし、Siでは、従来の自動縫合器を使用するため、もう1ヵ所の創を追加しています。
泌尿器科や消化器外科などで導入され、2018年度の診療報酬改定以後は呼吸器外科領域でも保険適応となっています。現在、ロボット支援手術の対象となる呼吸器外科領域の疾患は
(1)原発性肺癌などの肺悪性腫瘍に対する肺切除術
(2)胸腺腫などの縦隔悪性腫瘍に対する手術
(3)神経原性腫瘍などの縦隔良性腫瘍に対する手術
(4)重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術
となります。
当院ではロボット支援手術の国内資格を有する医師を中心とする、専門のトレーニングを受けたチームで十分にシュミレーションを重ねて手術導入を行いました。
ロボット支援手術も治療選択肢のひとつとして加えることで、今後もより低侵襲かつ安全な手術を提供できるよう、精進してまいります。なお、ロボット支援手術の適応については患者さんそれぞれの病気の進行度や全身状態などを総合して判断します。
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