[発行] 大分大学医学部附属病院広報誌発行委員会

電子カルテの情報管理について

 

イラスト 大分大学医学部附属病院は平成17年1月から病院情報システムを稼動いたしました。これにあたっては、診療録等の電子保存の3原則(真正性、見読性、保存性)をまず一番に考えました。これまでは、検査結果や処方内容などはコンピュータに記録されてはいましたが紙カルテが正式なカルテでしたので、それらを紙記録としてカルテに綴じる必要がありました。しかし、1月からは電子カルテも正式なカルテとなりましたので、紙で残す必要はなくなりました。ただし、電子カルテの診療記事入力は11月から予定していますので、今はまだ紙カルテと電子カルテが併用されています。カルテには患者さんの正しい情報が記録され、また、それが有効に利用され、なお、かつ、安全に管理保存されなければなりません。

 今回は、患者さんの診療情報が詰まっている電子カルテを安全に運用し管理していくため、技術面で対応している内容を説明します。

 まず、許可された医療従事者は正しい情報を登録、参照、修正できる必要があります。誰が、いつ、何を入力したか真正性を確保するために指紋認証、全端末同一時刻のシステムや一旦登録した内容を削除する場合二重線をつけ修正内容を追記する方式を採用しています。チーム医療を行うためには情報の共有が必要ですが、利用できる権限を職種によって制限し、利用した場合はその記録を残すようにしています。臨床実習で学生がカルテを利用する場合も、1人の学生は許可された患者さんのカルテのみしか見えないようにしています。関係ない人は情報を見る事が出来ないように、用事が済んだら利用者が初期画面に戻す運用にしています。また万一ある一定時間電子カルテのコンピュータ画面が開いたままになっていたら自動的に初期画面に戻るように設定しています。

 次に、情報を保管しているコンピュータやネットワークの管理も大切です。保管管理している建物への入退室は手の静脈による認証を行い、その記録を残しています。また災害などによるサーバーコンピュータの物理的損壊に備え、同じ情報を保管するもう一つのサーバーコンピュータを離れた場所に設置しています。ネットワークの障害などで診療に支障が出ないように二重化対策を採っています。外部からの不正アクセスやコンピュータウィルスの対策も行っています。大学の附属病院という立場から、電子カルテの中にある情報を研究や教育に利用する目的で電子カルテ外に取り出さざるを得ないことがあります。その様な場合に備え、情報を取り出す仕組みを作り、それ以外の方法では簡単に取り出せないようにしています。誰が、いつ、何を、どういう目的で取り出したか記録が残るようにしています。

 以上、技術面で対応している電子カルテの情報管理について話してきましたが、病院では、「病院情報システム運用管理規程」を制定し、職員の統一した運用方法等を定め、適正な情報管理を図るようにしています。

(文責 医療情報部 三宅秀敏)

 

最終更新日時: 大分大学医学・病院事務部管理課作成