教授に就任して
感染分子病態制御講座(内科学第二)教授
呼吸器内科長、血液内科長 門 田 淳 一
平成17年4月1日より大分大学医学部感染分子病態制御講座(内科学第二)教授に就任し、呼吸器内科長、血液内科長及び感染制御部長を兼任させて頂いている門田です。
現在、講座と診療科がマトリックス構造になっているため、役職も複雑になっています。私の専門領域は感染症疾患と呼吸器疾患になりますが、特に感染症の治療と発症予防、及びびまん性間質性肺疾患の診断と治療を専門にしています。
肺炎は日本人の死因の第4位ですが、厄介なことに最近は抗菌薬が効かない耐性菌が増加しています。安易な抗菌薬の投与は耐性菌の増加を招き、院内感染の元ともなります。私たちは感染制御部を中心に各診療科を横断的に巡回し、抗菌薬の適正な使用を推進していますが、各診療科の先生方にご理解を得るように今後も努力していく所存です。また、今日の感染症は治療だけでなく予防も極めて大事になっています。すなわち、院内感染を含めた感染制御が重要です。これは、大学病院だけでは困難ですので、今後は地域病院との連携を深め、大分県全体として感染を制御するシステムの構築に力を注ぎたいと思っています。
呼吸器疾患も高齢化社会を迎えて、肺癌をはじめ気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(いわゆるタバコ病と呼ばれる肺の生活習慣病)、間質性肺炎などが増加しています。肺癌は男性ではすでに癌の死因の第1位ですが、女性も2015年には癌の死因の1位になるといわれています。呼吸器疾患は、他に類をみないほどの多様性に富んだ領域であり、その診断・治療が難しい場合も多く、それぞれに専門性が要求される時代になっています。当科では、最近の科学的根拠に基づいた確実な診断と治療を実践するとともに、患者さんには十分なインフォームドコンセントを行い、患者さん御自身で治療法を決定して頂けるように努力してきましたが、今後も更に充実させていきたいと考えております。
感染症疾患、呼吸器疾患の増加に比して全国的に専門医が不足しています。大学病院のみならず大分県全体の呼吸器・感染症領域の医療の質を向上させていくためには、学生や研修医の頃からの人材育成にも尽力していきたいと思います。また、他の診療科とのチーム医療や地域病院との連携も重要な領域でありますので、是非とも皆様のご協力、ご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
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