泌 尿 器 科
泌尿器科は尿を産生する腎臓、その通り路である尿管・膀胱・尿道をはじめとして副腎や副甲状腺などのホルモンを産生する臓器、さらに睾丸や前立腺・陰茎などの男性生殖器の病気を扱う診療科です。大分医科大学泌尿器科はこれらの診療に際し、術後QOLの向上を目指して低侵襲治療を中心に行っているのが特徴です。
腎や腎盂尿管の腫瘍、副腎腫瘍などはほとんど腹腔鏡下手術で治療しており、手術後の痛みが少なく、患者さんは手術の翌日から歩行できます。腹部に3・4ケ所の小さな穴をあけるだけで、腎臓や副腎の摘出を行っています。開腹手術と比較して格段に小さな傷で、なおかつ出血量も少なくてすむ利点があります。腎臓や副腎に対する腹腔鏡下手術は早くから導入しており、西日本ではトップクラスの実績を誇っています。
また早期の前立腺癌に対して約7cmの小切開で前立腺全摘除術を行っており、痛みが少なく翌日から歩行できます。この手術の場合、前立腺のすぐ近くを通る勃起神経も切断せねばならないことがしばしばあり、術後の勃起障害が起こります。そこで、術前の性機能が正常な比較的若年の患者さんに対しては、ひ腹神経や陰部大腿神経の移植手術を行っています。これはまだ新しい治療法で海外での成績も十分集積されていませんが、患者さんの性機能を維持しながら癌を根治させる方法として期待されます。また種々の理由で手術が施行出来ない患者さんに対しては放射線治療を行っています。前立腺にできるだけ放射線を集中させ、周囲の直腸や膀胱に照射される線量を少なくさせるためCTスキャナーによる精密な放射線照射を行っています。
膀胱癌のため膀胱の摘除が必要な患者さんには、腸を使って畜尿するための袋を作成し、これを尿道に吻合して自然に近い状態で排尿できる手術法を積極的に採用しています。
中高年女性の尿失禁は非常に多い病気です。しかし尿が漏れるのは病気ではなく恥ずかしいことと考えて、羞恥心からひとり悩む人や、また治らないものとあきらめている人も多いようです。手術によって治すことのできる腹圧性尿失禁(せきやくしゃみ時、重い物を持った時に尿がもれる)に対して当科では侵襲の少ないTVT法という手術法で治療しています。下半身麻酔下に小さな切開で行う方法です。
また腎移植や血液透析、外来腹膜透析も積極的に行っております。泌尿器疾患でお悩みの方は紹介状がなくともお気軽に受診して下さい。
(文責 三股 浩光)