講師
花田 克浩HANADA Katsuhiro
- *** 専門分野 ***
- 分子生物学(DNA複製、修復、組換え、ゲノム不安定性)
- 天然物化学(遺伝毒性がある化合物)
- 微生物学(DNA複製、修復、組換え)
- 早老症疾患の研究
ゲノム不安定性が原因となる様々な生命現象の理解
遺伝毒素によって生じたDNAに損傷を修復するDNA修復の分子メカニズムを解明する研究を行っています。DNA損傷が生じると突然変異や染色体異常が発生します。これが老化、代謝異常、がんなど疾患の原因となります。また、DNA損傷が致死的な量の場合、細胞死や個体死の原因となります。DNA損傷に対する生体防御システムとしてDNA修復が存在します。DNA修復機構はDNA損傷を速やかに排除し、ゲノムの恒常性を維持します。このDNA修復機構が正常に働かないと、がんの発症頻度が高くなります。また、一部のDNA修復の欠損は老化を促進させる早老症を引き起こします。私は、DNA修復の欠損によって、どのように早老症を引き起こすのか明らかにしたいと考えています。
また、遺伝毒素のうち、DNA複製を阻害する作用を持つものやDNA複製時にDNA切断を誘導するものは、特に細胞毒性が強く、それらは活用の仕方によっては抗がん剤や抗菌剤として活用できる可能性が高いと考えられます。これまでの研究で培った知識と経験を活用した創薬研究も行っています。
トピックス
EUROTOX congress 2024
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今年もEUROTOX 2024に行ってきました。
今年はコペンハーゲンで行われました。コペンハーゲンは、もともと要塞だったこともあり、多くの城や城壁が残っています。また港町でもあり、カラフルな建物が並ぶ港が街のシンボルという感じでした。とても美しい街並みで、治安も良くて、料理も美味しかったです。ヨーロッパは脱プラスティックの意識が高まっており、テイクアウトの食品は紙袋や紙の容器、木のナイフとフォークでした。日本でも、一部では脱プラスティックが進んでいますが、まだまだデンマークほどは徹底されていないかなと感じました。
学会に関しては、今年は光栄なことに口頭発表をさせてもらいました。久しぶりの海外の口頭発表だったので、流石にちょっと緊張しましました。無事?に発表が終わってホッとしています。今回は二度目の参加ということもあり、ヨーロッパのこの分野の雰囲気が少し分かってきました。昨年度は日本企業の出展が少ないことをぼやきましたが、今年は1社だけですが日本からの出展がありました。HP掲載の了解も得られましたので、ここで紹介させていただきます。このような元気な会社がもっと増えていくことを強く望みます。
Summer Schoolを実施しました!詳細
大分大学地域開放事業(Jr.サイエンス)を実施詳細
アメリカの科学研究名誉協会 (Sigma Xi) の正会員に選定されました
この度Sigma Xiの正会員に選定されました。Sigma Xiは、1886年にCornell大学で設立された伝統と権威ある科学研究名誉協会で、ノーベル賞受賞した研究者も会員として活動しています。Sigma Xi は、科学・工学研究に貢献してきた研究者を讃え、さらなる協力関係を推進していくことを目的とした協会だそうです。その会員にお誘いいただいたことを光栄に思っております。小規模な地方大学でも、研究や教育に対して真摯に取り組み、地道に努力を続けたら、それを評価してくれる人が世界のどこかにいるということが分かりました。この伝統ある名誉協会のメンバーに加えていただいたからには、その伝統に恥じぬ活動を今後も継続していきたいと考えています。
第52回日本環境変異原ゲノム学会大会(福岡)に参加
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11月11日~12日に福岡大学で行われた学会に参加しました。今回は、食品や環境中に存在する変異原物質に加え、体内の代謝で発生する変異原物質に関する調査報告があり、活発な議論が行われていました。とても興味深いものでした。また、会場の福岡大学は広いキャンパスでありながら、綺麗に清掃・管理されており、とても心地よい雰囲気の大学でした。イルミネーションも施されており、我々のような国立大学とは違う世界が広がっていました。
EUROTOX congress 2023
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EUROTOX congress 2023に行ってきました。
毒性学に関するヨーロッパの学会に参加しました。今年はスロベニアのリュプリャナで行われました。リュプリャナはあまり馴染みがないところですが、古城が残るとても美しい街で、治安も良く、料理も美味しいとても素晴らしいところでした。学会の企画や運営もとても素晴らしく、EUにおける毒物検査の仕組み、化学物質の取り扱いに関する知識を深めることができました。一般演題のポスター発表も非常に質の高い研究が多く、ヨーロッパの基礎研究のレベルの高さを改めて実感させられた次第です。アジアからは中国やインドからの参加者が多く、研究者の発表、中国やインドの企業の出展も目立ちました。学術レベルもかなり高くなっているのが現状です。一方、日本からの参加者は少なく、日系企業の出展はFujifilm社の現地法人のみでした。正直、日本の科学研究の将来がちょっと心配になってしまいました。我々も、世界の強豪国に負けないように頑張ろうと決意して、この美しい国を発ちました。