研究室配属 Research Training

◆2020年の研究室配属


NEWS! 2020年5月7日 今年も研究室配属が始まりました。
今年度から5月から7月まで配属します。今年は、COVID-19の世界的流行により本学の教育も大きな影響を受けました。感染拡大防止の観点から対面授業が控えられていますが、その中においても医学部における研究室配属は、医学部が医療人を育成する学部であり医学部生もその自覚をもって勉学に当たっていることに鑑み、必要であると学部が判断し感染には細心の注意を払い実施することになりました。今年は、4名の学生が本講座で研究に取り組みます。みんな、ガンバレ!!
配属学生 氏名 研究テーマ コメント


 1741035 草野 耀永
● LAMP法を用いたPKDL迅速診断法の開発
  指導教員:Saechue、小林

 感染症の拡大防止には、早期に感染者を発見することが重要である。そのためには医療現場で迅速かつ簡便に検査できる診断法の確立が不可欠である。LAMP法は、PCR法に比べ高額な設備を必要とせず簡便に病原体ゲノムを増幅することができるので、この技術を応用した様々な感染症診断法が開発されている。今回、原虫感染症である内蔵型リーシュマニア症の新たなLAMP検査法の開発に取り組む。また、内蔵型リーシュマニア症の治癒後に発症するポスト・カラアザール・皮膚リーシュマニア症(PKDL)の動物モデルを作製し、新規LAMP法による評価を行う。

技術:遺伝子解析(LAMP, RT-PCR、real time PCR)マウス感染モデル、細胞培養実験、ELISA法
【一言】感染予防医学講座の先生方にはお世話になりっぱなしで感謝の気持ちでいっぱいです。コックンクラップ!(ありがとう)【感想】僕は基礎医学の研究者を志望しており、1年生の頃から感染予防医学講座にて実験の手伝いをしながら基礎研究について勉強してきました。当講座では実験手技だけでなく論文(データ)の解釈やジャーナルクラブでのディスカッション、プレゼンテーションの力なども鍛えられます。他の講座よりもご指導が手厚く、ここで得られた経験は今後の大きな糧となりました。最後に、新型コロナウイルスの影響で九州大学生医研への学外配属が中止となり急遽当講座に配属することとなりましたが、それでも暖かく迎え入れてくれた先生方に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

 1741056 高橋 優也
● 遺伝子組換えマウスを用いた炎症性腸疾患の分子機構の解析
  指導教員:有木、小坂、小林

 炎症性腸疾患(IBD)は免疫異常により発症すると考えられているがその詳細は不明である。IBDの発症機構の解明と新規治療法の開発を目指し、遺伝子組換えマウスを用いた腸炎モデルを作製し腸炎の病態形成における免疫関連分子の役割を明らかにする。@免疫細胞の遊走を制御するケモカインCCL20とその受容体CCR6の欠損マウス、A好中球が産生するエラスターゼの活性を抑えるプロテアーゼ阻害分子SLPIの欠損マウス、B腸上皮細胞特異的にシグナル伝達分子TRAF6を欠損したマウスを用いてハプテンを投与し腸炎モデルを作製して腸炎における各分子の機能解明に取り組む。

技術:遺伝子発現解析(RT-PCR、real time PCR)、マウス腸炎モデル、細胞培養実験、ELISA法、病理学的解析、免疫染色
【一言】日々失敗を恐れながら研究に励んでいます!早く感染予防医学講座の力になれるように頑張ります!【感想】私は将来臨床医を目指していますが、基礎系の研究を一度経験してみたいと思い感染予防医学講座の研究室配属を希望しました。実際に本研究のすべての手技を経験してみましたが、地道かつ繊細な操作の連続であり思うように結果が出ないことも多々ありました。研究から有意義な結果を出す難しさを知ることができたのは研究室配属での貴重な経験でした。ただその難しさの分、有意義な結果や有意差が出たときは大きな達成感を得ることができました。私にとってこの研究室配属の約3か月間は基礎の研究をより身近に感じることができ、また自分のデータの発表機会が多く設けられたこともいい経験になりました。今後機会があれば大学院などで基礎研究に携わってみたいと思いました。

  1741074 姫野 郁

●免疫性神経疾患の病態形成におけるジカウイルス感染の影響
  指導教員:神山、小林

  ジカウイルス感染症(ジカ熱)は蚊によって媒介されるウイルス感染症で、2016年のリオデジャネイロ五輪が開催されたブラジルでは妊婦のジカウイルス 感染と新生児の小頭症の関連が社会問題となった。また、ジカウイルス感染とギランバレー症候群との関連も示唆されている。そこで、ジカウイルス感染がマウスの免疫性神経疾患の病態形成にあたえる影響について、多発性硬化症の動物モデルとして知られる実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルを用いて、免疫学的・病理学的解析によりアプローチする。

技術:遺伝子組換え実験、動物実験、マウス感染モデル、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデル、病理学的解析、免疫染色、real time PCR、細胞培養、レポーターアッセイ

【一言】免疫60点ピッタリで写経もしましたが、一生懸命に頑張ります。【感想】3ヶ月と短い間でしたがスライドの作り方や英語論文の読み方、教科書やテストで名前しか聞いたことないような様々な実験手技を理論から丁寧にご指導頂きありがとうございました。私自身免疫学には苦手意識を持っていましたが、実際に実験をさせて頂いて免疫学という分野の奥深さや面白さに触れることが出来ました。ここで得た様々な知識や経験を生かし今後益々学問に励んでいきたいと思います。本当にお世話になりました。感染予防医学講座に配属して良かったと心から思っています。


  1741076 廣瀬 昇吾

●アニサキス症の重症化機構の免疫学的解析 
  指導教員:飛彈野、小林

  アニサキス症は、魚介類に寄生するアニサキス線虫が、刺身などの摂食により胃腸に穿入する寄生虫症で、劇症化すると激しい腹痛を引き起こす。一方で、健康診断などの内視鏡検査により偶然アニサキスの感染がみつかることがあるが、この場合は自覚がなく無症状である。本研究ではアニサキス症の重症化の原因を明らかにする。これまでに生きたアニサキスをマウスに反復感染させると、血中IgE抗体価が上昇することを見出した。抗原の繰り返し感作によるアニサキスに対する免疫反応の亢進が示唆された。そこで、今回、アニサキスが感染した胃でどのような免疫細胞が浸潤し、どのようなサイトカインが産生されるのか解析しアニサキス症の重症化機構の解明に取り組む。
 
技術:遺伝子組換え実験、遺伝子発現解析(RT-PCR、real time PCR)、マウス寄生虫感染モデル、細胞培養実験、ELISA法、病理学的解析、免疫染色

【一言】週一でサバを捌き、アニサキスを回収しています。サバ、アニサキスやマウス達が無駄にならないようにしっかり研究して結果を残します!【感想】今回の研究では以前の結果の再現性は得られなかったが、その原因を推測することができた。配属期間中は多くの実験を経験させていただき、たくさんの手技を学ぶことができました。これから何らかの研究をすることがあれば、今回の研究で得た知識や手技を活かしていきたいと思います。


2020.7.2
歓迎会を行いました。
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2020.7.22
発表会を行いました。
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2020.7.31
打ち上げしました。
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