胸腔の内側と肺の表面は胸膜という膜で覆われています。胸膜の表面を構成するのが中皮細胞で、この中皮から発生した腫瘍を中皮腫といいます。胸膜中皮腫の原因のほとんどは、アスベスト(石綿)の吸引によるものです。アスベストに曝露されてから中皮腫を発症するまで、約20~40年かかります。
症状としては、呼吸困難や咳、胸痛などがあります。胸部単純X線写真や胸部CTでは、胸膜の肥厚や多発胸膜結節、多量胸水といった所見がみられます。胸に針を刺して胸水の中の細胞を採取したり、内視鏡手術で胸膜の腫瘍を採取したりして病理診断が行われます。治療は手術、放射線治療、化学療法を組み合わせて行われます(集学的治療)。
またこれらの治療と並行して腫瘍による自覚症状を改善するための治療(緩和ケア)も行われます。