
- 院内製剤の調製
院内製剤とは、患者の状態、疾患の種類や程度、治療効果あるいは規格・包装単位などの理由により市販品では十分な対応ができない場合に、患者個別の治療に対応するため院内で製造する医薬品です。
院内製剤は大きく分類すると、個々の患者の多様な病態やニーズに対応する特殊製剤と調剤時に繁用される散剤および軟膏剤の予製剤に分けられ、その他にも病棟や外来診療で使用される各種処置用医薬品,消毒剤などがあります。
院内製剤品 - 高カロリー輸液(TPN)無菌調製
高カロリー輸液は、疾患や手術のために食事を経口摂取できない患者に対し、中心静脈より栄養分を補給するための注射薬です。高カロリー輸液療法施行中の患者にはカテーテルが留置されており、容易に感染が引き起こされるため、輸液からの感染リスクを軽減することが重要です。
薬剤部では、全診療科を対象として高カロリー輸液の無菌調製を行っており、細菌汚染の防止に努めています。また医師の処方内容が適正であるかなどを薬剤師が監査することで、注射調剤、注射調製の過誤防止に貢献しています。
写真:クリーンベンチ
- 抗がん剤無菌調製 1)抗がん剤曝露防止にも配慮した抗がん剤の無菌調製
抗がん剤には,制がん作用がある反面、細胞毒性、変異原性あるいは発がん性を有するものも多く、抗がん剤取扱者への抗がん剤曝露による健康上の危険性も報告されています。調製者の薬剤曝露を回避するため、注射用抗がん剤の調製は安全キャビネット内で行っており、現在は入院・外来の全診療科を対象に実施しています。適切な調製手順および手技にて無菌的に抗がん剤を調製することにより、医療従事者を守るだけでなく、患者に対しても安全な製剤を提供することができます。
2)がん薬物療法治療計画書(レジメン)の管理とレジメンに基づく抗がん剤処方の点検がん薬物療法では、治療計画(レジメン)に基づき抗がん剤、輸液、併用薬剤などが投与されます。薬剤師は、院内におけるレジメンの登録と管理を担い、登録されているレジメンに基づき、抗がん剤処方のレジメン適応、投与量、投与経路、休薬期間などをチェックすることで、より安全ながん薬物療法の遂行に寄与しています。
写真:安全キャビネットにおける抗がん剤無菌調製の様子