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お知らせ詳細(活動報告)

平成23年12月14日
平成23年度第1回大分大学全学研究推進機構セミナー(機器分析部門特別講演)
第23回石油学会九州・沖縄支部講演会
-材料デバイス触媒開発の発展に貢献する機器分析-

<日時場所>
日時:平成23年12月14日(水) 13:10~16:00
場所:大分大学旦野原キャンパス 工学部108号教室
主催:全学研究推進機構
共催:石油学会九州・沖縄支部石油学会JS(ジュニアソサエティ)

当日のプログラム(ダウンロード)

 

平成23年12月14日大分大学 旦野原キャンパスにて『平成23年度第1回大分大学全学研究推進機構セミナー(機器分析部門特別講演会)』が開催されました。

セミナーでは富山大学 小野先生による「表面分析を利用した親/疎水性制御材料の開発」また宇都宮大学 松本先生による「X線光電子分光分析(XPS)による光触媒材料の高度化」岐阜大学 近江先生による「無機多孔質材料の合成と解析法」と3つの講演が行われました。

当日は師走の忙しい時期にも関わらず学内外より多数の参加者が集い熱心に講演に聞き入っていました。

 

<セミナーの様子>

 

<全学研究推進機構 副機構長 守山 正胤による挨拶>

 

 

<講演の様子> 

① 表面分析を利用した親/疎水性制御材料の開発
富山大学 自然科学研究支援センター 機器分析施設 准教授 小野 恭史 先生

  富山大学 小野先生のご講演

始めに,目的に合わせた機器分析ということで,各種機器分析装置の簡単な目的と用途,そして表面・界面の重要性について話をされました。
オゾン水への過酸化水素水添加により生成するヒドロキシラジカルの酸化力を利用する促進化処理法の適用が検討されていますが,オゾンも過酸化水素も反応性が高く,不安定なため,輸送・保存時には安定剤添加が必須となり精密洗浄には不適切となります。この両物質をオンサイトにてコンパクトな装置で製造することができれば,製造工程の簡略化・効率化が期待できます。電解法において,陽極にてオゾン生成を,陰極にて過酸化水素生成を行うことができれば,効率のよい促進酸化処理が実施可能となりますが, 酸素は水に対する溶解度が低いために高効率電解は困難とされていました。今回,親/疎水性制御材料の研究の一端として酸素捕集機能を電極に付与した疎水性銀粒子を開発したいきさつと,これを陰極材料としてSPE(固体高分子)電解装置に設置した電解系を構築し,オゾンと過酸化水素の同時生成についての最新の研究成果について興味深い講演をしていただきました。
最後に,最近の技術の進歩により,分析機器を使用するユーザーにとってはブラックボックスになってしまう技術がたくさん含まれているので,原理を理解していないと誤った操作・測定・解釈をしてしまうため,十分に理解することが肝要であるという経験者ならではの貴重なメッセージをいただきました


② X線光電子分光分析(XPS)による光触媒材料の高度化
宇都宮大学 地域共生研究開発センター 先端計測分析部門 准教授 松本 太輝 先生

  宇都宮大学 松本先生のご講演

機器分析装置を用いた物質・材料の物性評価が,多くの機能性材料,環境・エネルギー材料に関する研究・開発において不可欠なものとなっています。今回は,物質・材料の物性評価に汎用的に用いられる機器分析手法の1つ「X線光電子分光分析法(XPS)」を取り上げ,その目的,原理,装置についての概説をしていただきました。また,この分析手法が機能性材料の研究開発に貢献した例として,先生の研究のX線光電子分光分析法を活用した可視光に応答する窒素ドープ型酸化チタン光触媒の高活性化を例にとり,研究成果の紹介,XPSの本研究に対する有用性や可能性について大変興味深く話しをされました。講演の残りの時間を使って,松本先生は「機器分析装置は日々高度化,高性能化しており,今日では誰でも簡単に分析結果を得られるようになっています。しかしながら,本当に意味ある分析データを得るためには,分析機器の利用者に,より高い予備知識や能力が求められているとも言えます。」と聴講者へメッセージを投げかけられました



③ 無機多孔質材料の合成と解析法 
岐阜大学 生命科学研究支援センター機器分析分野 准教授 近江 靖則 先生

  岐阜大学 近江先生による講演

活性炭やゼオライトに代表される多孔質材料は,古くから石油化学,有機合成,洗剤,エネルギー,環境保全および農業などの多種多様な分野で利用されています。1991年には,新しい手法によるゼオライトよりも細孔径で表面積の大きいメソポーラスシリカFSM-16等の合成が報告され,それ以降,ヘテロ原子(異原子)を含むメタロシリケート,非シリカ系酸化物,硫化物,リン酸塩などの骨格組成を有するメソポーラス物質が合成されました。一方,無機ではないが,金属錯体から形成されるMOF(Metal-Organic Framework)が,活性炭やゼオライトをはるかに超える高表面積をもち,柔らかな骨格で包接する分子に応答して細孔の形状に変化する珍しい多孔体として注目されています。多孔質材料は無機、有機に関係なく広く研究されているが,今回はこの無機多孔体質材料に焦点を当て,過去の結果から最新の研究結果までわかりやすく,また多孔質の最新の解析方法について講演をされました。最後に,分析機器は,「習うより慣れよう,使ってみよう」とチャレンジ精神旺盛に研究に取り組む姿勢を強調され,学生の研究の一層の進展に期待されていました。

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