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病院長挨拶

病院長挨拶

病院長
大分大学医学部附属病院長

三股 浩光MIMATA Hiromitsu

本院は1981年に大分医科大学医学部附属病院として開院し、昨年10月に40周年を迎えました。この間、開院時の321床から618床に増床し、高度救命救急センターや認知症先端医療推進センター、臨床医工学センター等、様々な組織を設置し、特定機能病院に相応しい陣容を整えてきました。本院の特徴は、腹腔鏡手術や血管内治療、大動脈ステント留置術等を黎明期より開始し、低侵襲治療に関する多くの業績を挙げていることです。特に消化器疾患領域では、消化器内視鏡や腹腔鏡手術の実技指導を通じて、ロシアやインドネシア、タイ、サウジアラビア等での教育に携わっています。

本院は2010~2019年度にかけて再整備事業を行い、本院の強みである低侵襲で高度な先端医療を推進すべく、手術室を15室に増やし、腹腔鏡手術専用室やハイブリッド手術室を設けました。本年度より消化器外科や泌尿器科、呼吸器外科、産婦人科等で多くの術式でロボット支援手術が保険収載されましたが、本院では国産ロボットのhinotoriTMを導入し、da Vinci SiTMとあわせて2台体制でロボット支援手術を行う予定です。消化器外科では人工知能技術を活用した新たな腹腔鏡手術の開発に取り組んでおり、世界の最先端を目指しています。また、ハイブリッド手術装置を更新して血管内治療等も発展させる予定で、さらに腎腫瘍に対しては大分県で初めて、九州で3施設目となる冷凍治療を開始します。再整備事業により、各病室は広々とし、個室も大幅に増えましたが、今年度は従来から要望の多かったWiFi環境の整備を行い、入院生活が快適になるよう、アメニティーのさらなる充実を図っていきます。

大分大学医学部では本邦初の臨床薬理学講座が設置されました。同講座を核に総合臨床研究センターを設け、臨床研究の推進と新薬の開発に努めています。また認知症先端医療推進センターでは、地域住民や行政の協力のもとに、PET-CT を駆使した認知症の早期診断法や治療薬の開発を進めており、地域に密着した先端医療を展開しています。また、高度救命救急センターは平成24年より稼働し、ドクターヘリによって大分県のほぼ全域から約30分で緊急患者を搬送できる態勢になっています。 昨年4月に本院は基幹災害拠点病院に認定され、大規模災害やテロへの対応、さらに他病院への災害教育等も求められており、通常の医療だけでなく災害医療でも大分県の中核病院となっています。

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは3年目に入り、ワクチンや治療薬の開発により重症化や死亡率は抑えられてきたものの、収束にはまだ時間がかかりそうです。本院は、令和2年に新型コロナウイルス感染症が発生した初期より、中等症以上の患者を受入れ、大分県下で唯一ECMOによる治療を実施して、重症患者を救命してきました。また、新型コロナの中等症以上の患者や血液透析患者の全県におけるベッドコントロールや、ワクチンの職域接種、大規模PCR検査、宿泊療養施設や県外医療機関への医師・看護師の派遣等を行い、本県における指導的役割を担ってきました。臨床研究センターでは新規ワクチン開発も行なっています。

本院の理念は「患者本位の最良の医療」を実践することで、これからも皆様に信頼される病院を目指し、職員一同、益々の精進に努めてまいります。大分県の皆様に安心・安全な高度先端医療を提供し、地域医療に貢献していく所存です。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。