栄養サポートチーム

栄養サポートチーム

お知らせ

2024.3.25
日本臨床栄養代謝学会認定 NST 専門療養士実習(臨床実施修練)第二期再募集ご案内

活動

NSTは、Nutritional Support Teamの略で、栄養サポートチームの事を意味します。

近年、病院内での栄養不良患者さんの増加、栄養状態が不良な場合は治療効果が無効になる場合もあり、逆に適切な栄養管理のもとでは患者さんの予後の改善が認められることから、医療の中での栄養管理の重要性が見直されてきています。これまで栄養管理は当たり前のこととして、考えられていましたが、実際にはこの当たり前のことが医療の実践のうえではなんらシステム化されることなく放置され、その結果として治療の基礎となる栄養管理が十分行われているとは言い難い状況が生じていました。

このような状況の見直しからNSTとして病院内に栄養管理の基本的システム化が全国的に行われるようになってきました。当院でも平成17年6月の病院運営会議でNSTの設立が認められ、また医療の質向上プロジェクトにも採択されワーキンググループの立ち上げ、実践に向けての準備、勉強会が緒についたところです。

NSTの特徴は医師、看護師、栄養士、薬剤師、検査技師など多職種が集まって患者さんのための栄養療法を考えるチーム医療だということです。個々の職種の一人の力だけでは十分な栄養管理はできません。個々のスタッフがそれぞれの専門知識や技術を出し合いながら他の医療スタッフと力を合わせチームとして活動することで、初めて十分な栄養管理を行うことができます。21世紀の医療を構築する中でNSTというチーム医療の取り組みは病院内での横断的機能の向上、患者さんに対する医療の質やアウトカムの向上にとって大切なシステムとして期待されています。

栄養療法はすべての治療の基本であり、NSTの役割としては適切な栄養管理法の選択はもちろん、適切で質の高い栄養管理を各患者さんに提供することです。また早期に栄養障害を発見し、早期に栄養管理を開始することで栄養障害に伴う疾患の増悪を未然に防ぐことが可能とされています。さらに栄養療法に伴うカテーテル敗血症などの合併症の予防、早期発見、治療など栄養に関するすべてのことを管理することがNSTの役割と考えられています。

NSTの実践により手術や抗癌剤療法に伴う合併症や副作用の減少、さらには褥創や院内感染の減少などが期待され、その結果、在院日数の短縮、入院費の節減、在宅治療症例の再入院や重症化の抑制ももたらされるのではないかと考えられています。現在、NSTの本格稼働に向け月1回の勉強会、話し合いがNSTスタッフ、病棟担当医師、担当看護師で実施されています。「病気を診るのではなく患者さんを診よ」とは、よく言われる言葉ですが、これを実践することは案外、簡単なことではありません。この点、NST的視点は常に患者さんを全人的に診察しようという立場であり、臨床研修の場としても最適なものの一つと考えられます。

さらにNSTは院内チーム医療のみに限らず、他急性期病院はもとより、在宅介護施設や老人福祉施設などと連携することで地域医療全体にも変革をもたらせる可能性があります。本院NSTだけでなく大分県内の多くの病院もNSTの活動を開始しています。大分臨床栄養研究会、大分NST研究会などの活動を通じ、地域一体型NSTの構築にも貢献していきたいと考えています。NSTに興味のある方は自由に参加していただき、大分大学医学部附属病院NSTを有効有益なチーム医療に育てあげることに協力していただければ幸いです。


メンバー紹介

NSTは病院長直轄組織であり、NSTの運営にはチーム医療であることが不可欠です。最終的には全職員がNSTの構成員としての認識を持つようになることが目標です。

NSTの活動メンバー

NST委員長
  • 柴田 智隆
  • (消化器・小児外科医師)
その他のメンバー 医師・歯科医師・摂食嚥下認定看護師・薬剤師・管理栄養士・臨床検査技師・言語聴覚士で構成。

NSTの活動

カンファレンス・回診
  • 毎週水曜日 14:30~
  • ※但し、緊急を要する場合は可能な限り迅速に対応します。
NSTに関する問い合わせ先 栄養管理室 (内)5461

各メンバーの役割(NSTプロジェクト・ガイドラン参考)

医師 病状の把握、栄養障害の有無や程度の判定、主治医の治療方針の確認、栄養療法の適応の決定、栄養管理法の手技の実際と指導、適切な栄養管理の評価、栄養療法の効果判定と合併症の確認、主治医とNSTメンバーノ仲介
看護師 栄養障害の有無や程度の判定(栄養アセスメント)、問題症例の抽出・提示、症例の症状観察、主治医に治療方針の確認、栄養管理手技の是正・指導、適切な栄養管理法のチェック、栄養管理法を医師に助言・提示
薬剤師 担当病棟のモニタリング・症例のアセスメント(問題症例の抽出・Roundでの提示)、担当病棟Roundへの参加、生化学的知識に基づいた栄養療法の提言・問題点の抽出、栄養療法に伴う合併症の早期発見・予防、患者・家族への栄養薬剤の説明・服薬指導、栄養療法関連製剤の情報提供、輸液類の無菌調剤・誤投薬のチェック、新しい知識の習得と啓発
栄養管理士 担当病棟のモニタリング、問題症例の抽出・アセスメント、栄養評価・摂食状況に基づいた栄養療法の提言・問題点の抽出、栄養療法の問題点・合併症の早期発見・予防、患者・家族への食事指導・疑問点への回答、栄養療法関連製剤の情報提供
臨床検査技師 病院全体の栄養障害患者の早期抽出・提言、生化学的知識に基づいた栄養療法の効果判定・合併症の早期発見・予防、栄養指標マーカーの有効利用・新規効果判定基準の作成、感染制御部などとの連携による感染性合併症の早期発見・予防、新しい知識の習得と啓発