生理機能検査室
生理機能検査は、患者さんの身体を直接検査する臨床検査です。 各検査には定められた方法と手順があり、患者さんのご協力なしには正しい結果を得ることが出来ません。 ご協力のほど宜しくお願い致します。
検査を受けられる方へ
- 予約時間までに中央診療棟2階の検査部受付までおいで下さい。
- 検査時に担当者が検査の受け方などを説明します。
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脳神経機能検査
検査種別 検査項目名 脳波検査 - 脳波検査
- 自然睡眠賦活脳波検査
- 薬物睡眠賦活脳波検査
脳誘発電位検査 - 体性感覚誘発電位検査
- 視覚誘発電位検査
- 聴性脳幹反応検査
末梢神経伝導検査 - 運動神経伝導検査
- 感覚神経伝導検査
脳波検査
1.脳波検査とは
大脳には左半球と右半球があり、それぞれ前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉に分けられます。
左半球は言語、代数学、理論などを、右半球は音楽、幾何学、発想等を主な役割にしています。また、前頭葉は運動と行動の制御、頭頂葉は感覚と知覚情報の分析、後頭葉は視覚、そして側頭葉は聴覚、嗅覚、記憶などの働きをつかさどっています。大脳の表面には約140億個の神経細胞があります。これらの神経細胞が興奮すると、数十マイクロボルト(およそ十万分の一ボルト)の弱い電位が発生します。これを頭皮上に付けた十数個の電極から取り出し、それぞれの部分ごとに記録したものが脳波です。脳波は一秒当りの波の数によって、ベータ(β)波、アルファ(α)波、シータ(θ)波、デルタ(δ)波に分けられます。電位の強さは正常成人では10~6マイクロボルト程度が一般的です。検査はまず安静閉眼覚醒状態で、基礎リズムを調べます。健康な成人では、後頭部を中心にアルファ波がリズミカルかつ左右対称に出現しているのが一般的です。
2.賦活脳波検査とは
通常の脳波検査は、安静閉眼覚醒状態を記録したものですが、感覚刺激(開閉眼、光刺激等)、過呼吸、睡眠などの生理的刺激を与えることにより、通常の状態では出現しない誘発される異常脳波を調べ、安静時の脳波がどのように変化するかなどを観察します。
- 検査の目的
脳の機能をとらえるための検査です。てんかんなど発作性疾患の異常波の検出、睡眠・覚醒の変化、意識の障害によっておこる脳の全般的活動水準の変化、脳梗塞や腫瘍などの病変による脳機能に対する影響などがわかります。
- 検査の流れ
- 約20個の皿電極を頭や耳たぶにペーストやテープで固定・装着します。
- 1.の状態でベッドに仰向けに休み、20分から30分閉眼状態を保ってもらいます。
- 賦活脳波検査の場合は、2.の間に開閉眼をしていただいたり、フラッシュのような光を顔に当てたり、過呼吸を3分間繰り返していただくなどしていただきます。この賦活による脳波の状態を記録します。
- 記録終了後、電極を外します。
※電極から刺激が出るようなことはありません。
- 査所要時間 50~90分
- 検査の注意点
- 検査時の覚醒度や心理的状態などによっても変わってきます。リラックスした状態で検査を受けることが、正確な結果を得る上で重要です。
- 携帯電話などの電源はお切りください。
- 電極装着時に使用したペーストを検査後拭き取りますが、その際に髪が多少乱れることがあります。
脳誘発電位検査
1.体性感覚誘発電位検査とは
体性感覚誘発電位は、刺激の反対側の大脳皮質感覚野上の頭皮部分に出現します。ここでは上肢の正中神経を電気刺激し、反対側の体性感覚野から40msec 以内に現れる短潜時の反応波を導出し、末梢神経から大脳感覚野に至る体性感覚野機能を評価します。
- 検査の目的
視床レベルより上の大脳半球機能の検索に用いられます。また、内頸動脈や中大脳動脈の血流不全を評価することが可能であり、内頸動脈瘤、中大脳動脈瘤、頚動脈内膜剥離術(CEA)、頭蓋内外バイパス術(STA-MCA)吻合、脳腫瘍摘出術などの術中モニタリングに用いられることがあるため、これらの術前検査として行うことがあります。
- 検査の流れ
- 皿電極を頭・耳たぶ・鎖骨付近・後ろ首の付け根にペーストやテープで固定・装着します。
- ベッドに仰向けに休みます。
- 手首に電気刺激を与えます。最低500回の刺激が必要です。
- 片手の検査が終了後、もう片方の手も同様に行います。
- 検査所要時間 30~60分
- 検査の注意点
検査時は手に与える電気刺激により勝手に手が動きますが、無理に力を入れないでください。
2.視覚誘発電位検査とは
視覚誘発電位は、網膜受容器に光刺激を与えたときに大脳皮質に生じる反応です。
刺激から500msec以内に反応波が認められ、視神経・視神経交叉部から後頭葉のどの部位の病変かを推定できます。光刺激(flash VEP)、図形刺激(pattern reversal VEP)があります。
- 検査の目的
パターンリバーサル刺激で網膜神経節細胞や視神経の検査、また視交叉部および交叉後の視覚伝導路の検査を、フラッシュ刺激で網膜での光受容体の機能検査およびそれによる大脳での視覚機能検査に用います。
- 検査の流れ
- 皿電極を頭・耳たぶ・額にペーストやテープで固定・装着します。
- パターンリバーサル刺激の場合
椅子に座った状態で専用のモニター画面を一定時間(およそ5分程度)凝視していただきます。
フラッシュ刺激の場合ベッドに寝た状態で、専用のライトを顔の上に設置し、フラッシュ刺激を一定時間(およそ5分程度)受けてもらいます。
ゴーグル刺激の場合専用のゴーグルを装着し、赤い点滅光を一定時間(およそ5分程度)受けてもらいます。
- 検査所要時間 30~60分
- 検査の注意点
体を動かしたり、力を入れると測定に影響しますのでリラックスして検査を受けて下さい。
3.聴性脳幹反応検査とは
聴性誘発電位は、耳へのクリック音刺激により、聴神経、脳幹部聴覚路から誘発される電位です。
主に蝸牛神経から下丘までの聴覚路由来の反応です。他覚的聴力検査、脳神経学的検査の2つの目的に用いられます。
- 検査の目的
被験者の意識や心理に左右されない他覚的聴力検査であり、脳幹部の神経学的検査として用います。
新生児専用の聴覚スクリーニング検査としても行っています。
- 検査の流れ
- 皿電極を頭・耳たぶ・額にペーストやテープで固定・装着します。
- ヘッドフォンにて数種類の大きさのクリック音を聞いてもらいます。
- 検査所要時間 30~60分
- 検査の注意点
- 体を動かしたり、力を入れると測定に影響しますのでリラックスして検査を受けて下さい。
- 乳幼児など、指示が通らず体動がみられたり泣いたりしていると検査ができないことがあります。
神経伝導検査
1.運動神経伝導検査とは
神経の走行に沿って皮膚に電極を当て電気刺激をすると直下の末梢神経が興奮します。その時に誘発されるインパルス伝導を観察し、末梢神経の病変の有無と性質を調べる検査です。筋活動電位の潜時を指標にするものを運動神経伝導速度と言います。上肢では正中神経・尺骨神経、下肢では脛骨神経、腓骨神経について測定します。
2.感覚神経伝導検査とは
神経活動電位の潜時を指標にするものを知覚神経伝導速度といいます。上肢では正中神経・尺骨神経、下肢では腓腹神経について測定します。
- 検査の目的
末梢運動・感覚神経を電気刺激により興奮させることによりその反応を筋肉や神経上から記録し、末梢神経の機能を評価します。
- 検査の流れ
- 手・または足の検査目的部位にシール電極を装着します。
- 手・または足の検査目的部位に電気刺激を与えます。
- 2.を繰り返し行い、神経の潜時、伝導速度、振幅を計測していきます。
- 検査所要時間 30~60分
- 検査の注意点
体を動かしたり、力を入れると測定に影響しますのでリラックスして検査を受けて下さい。また、多少痛みを伴う場合がありますのでご協力下さい。